44話「ロリへの愛は世界を救うか?⑯~中ボス戦③~」


吸血姫はアホ可愛い


魔法と魔法がぶつかる魔術師同士の戦い。
兵器同士の戦いなら、圧倒的な性能を有する側が、仲間と情報を交換しあって火力を集中させた方が勝利するが……魔法は応用がとても効く。銃器、重機、爆弾、航空機の代用ができるくらい、極めれば何だってできる。
発展すればするほど高コストになっていく兵器と違って、自分で開発すれば金もかからない。
なんでもありすぎて、対処が困難だからこそ――プラチナバッジ冒険者同士での戦いは、少しでも相手の手を読むのを間違えば死ぬのだ。

「いきなり精神破壊波(マインド・クラッシャー!)」

魂をぶっ壊す魔法で、俺は先制攻撃をした。しかも、核酸して反射しまくるように仕様を変更してある。
屋内でこれを回避するのは困難。というか屋外で使ったら食の神に当たるから使えな――

「黒霧(ダーク・ミスト)」

ドナルド先輩は空を飛ぶ魔法と同時に、周りに黒い霧を展開する魔法を発動させたのだ。
この霧には、光を減衰させ、急速に無害化させる効果がある。だが、それはどうでも良い。
わざわざドナルド先輩が飛行魔法を使って、こっそり床から浮かびあがっているという事は――明らかに床を盛大にぶっ壊す系統の魔法を使う気満々だ。

「飛行盾(スカイ・ボード)」

俺は仕方なく、空を飛ぶ板を作り出し、それに乗っかって浮かび上がる。魔族を宿したドナルド先輩と違って、手の数勝負になれば俺に勝機はないのだが、ドナルド先輩は俺が勝利する可能性を少しづつ削り取るかのような感じに、慎重すぎる戦術を取るようだ。
ニヤリッ、ドナルド先輩は顔に笑みを浮かべて――呪文を唱えている。
内容から考えて――風と雷を合体させた広範囲すぎる複合魔法だ。やばい。呪文が完成した時点で俺は死ぬぞ。奇跡的に回避できても強風でバランスを崩し、次の瞬間、あの世行きだ。これ。
だが、俺は思い出した。そういえば俺――

「電撃暴風波(サンダーバースト)!」

カグヤとニャンコ、チーズ校長の三人から――コンドームをもらったんだ。悪徳都市で作られたゴムだから、きっと絶縁効果があるに違いない。そう信じて――俺はコンドームの束を魔法の鞄から出し、前方へと放り投げる。ついでに昔使っていた銃器も投げ捨てた。
空気を切り裂いて進む雷を、コンドームは容赦なく弾き、銃器へと電力が殺到する。
だが、雷をどうにかしても、強風が持つエネルギーを殺さないと詰むから――俺はこっそり詠唱していた呪文を発動させた

「空気操作(シルフ・コントロール)!」

空気を操作し、強風を受け流す空気の壁を作る。強風は俺の横を通り過ぎるが、まだまだ俺の不利は変わらない。周りは人工物に囲まれた地下空間では、土操作が使えない。大量の土砂がドバドバと入ってきて生き埋めになりかねないからだ。
だから俺は――

「電撃暴風波(サンダーバースト)!」

ドナルド先輩の複合魔法を――魔法の鞄から黒い装甲車を出して防いだ。見事に車の燃料に引火し、爆発炎上を引き起こす……よく考えたら、俺は金持ちだ。数百万円程度の装甲車なんて、湯水のように消費しても良い富裕層である事を忘れていた。
さぁ、ドナルド先輩……次はどのような手でくる?残念ながら、複合魔法の性能が凄まじすぎて……後手の先手を取らないと、対処できそうにない。
俺が最初に呪文を詠唱したら、確実に発動した魔法ごと封殺されそうだ。

「いやぁ、なかなかやるねぇ……本当に面倒くさい後輩だよ。じゃ、これはどうだい?」

ドナルド先輩から小さな呟き。声は聞こえないが、口の形で詠唱の内容はわかる。
炎と土の複合魔法だ。わけがわからん。地下空間で何を考えているんだ……?
あ、そうか。ないなら出せばいいんだ。 魔 法 の  鞄 か ら  土 を だ せ ば  無  問 題 だ。
 
「灼熱土砂(マグマ・ブロヴ)!」

魔法の鞄からドバドバと出た土が、マグマへと変わる。飛行盾から落ちたら俺の人生は終了だ。
明らかにやばい。やばい。ドナルド先輩が次に取る手がわかるぞ。
風を強化しまくった複合魔法を使うに違いない。空気操作で防御できないような風を起こして、マグマへと落とす気だ。あんまり本気で戦っているように思えないのに、確実に殺しにきていてやばい。

「はぁ、トモヤ君には失望したよ……次で終わりだね」




飛行盾(スカイ・ボード)
(´;ω;`)空を飛べる魔力の盾だお。盾に使った魔力を消費して飛ぶから、省エネで素晴らしいお。


精神破壊波(マインド・クラッシャー!)
(´;ω;`)魂をぶっ壊す有害な光を出す魔法だお。光速で飛んでくるから、凄い射程距離だけど、屋外で使うと食の神に当たって、食われる可能性があるお。




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