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飛行盾から落とされたら人生終了だが、まだ俺には奥の手がある。
しかし、それをここで使うと意味がないのだ。奇襲攻撃で一気に逆転しないと勝てない。俺は魔力が少ないし、ドナルド先輩みたいな複合魔法も使えない。
小手先の工夫じゃ足りないくらい、戦力に差がありすぎている。
ドナルド「これで終わりだよ!襲撃暴風波(キル・ストーム!)」
風を強化した複合魔法。魔法の鞄からアイテムを出しても意味がない。落下地点が風のせいでずれるからだ。
白真珠が床を凍らせてくれる。
白「えへんっ!正義の味方はピンチの時に駆けつけるんですよ!」
ドナルドが驚いた隙をつき、影に潜ませた影人間でアタック。
だが、一瞬、ゾクリッとした。
強大なる魂の気配。
遮断装置がぶっ壊されたという事実に……俺は驚いた。奇襲攻撃の効果が薄れたやばい。
魔族の力が、妨害されずに全開放された状況じゃ、影人間では勝てない。全力になった魔族はやばい。
魔力弾を無詠唱で生み出し、空間転移し、個体によっては魔法すら封じる。
ドナルド「どうやら……間に合わなかったようだねぇ?」
影人間、魔族、両方とも制限がない環境になったからパワーアップ。ボコぼこ。
自我がないせいで、魔族負ける。
どうやら……自我が崩壊しているせいで、複合魔法を使えるだけの補助的な存在に成り下がっていたようだ。
ドナルド「ふ……どうやら見抜いたようだねぇ……。そうさ。僕の器に入っている魔族は自我がない。だから、こういう近接戦闘にはとことん弱くてね。僕が命令しないと何にもできない木偶の棒だったのさ」
ドナルド「どうした?トドメを刺さないのかい……?」
「先輩、破滅したいなら自分で破滅してください」
ドナルド「……やれやれ、殺せないなんて甘ちゃんだねぇ……僕みたいな悪党を放置なんて……正義の味方がやる事じゃないよ」
白真珠「こういう時、別の悪党が襲ってきて、正義の心に目覚めたドナルドさんが主人公を庇って死ぬっていう展開が盛り上がると思います!どうかそういう人物になってください!
お師様が困りますから!」
ドナルド「……うーん、そういう展開はどうなんだろうねぇ。いや、破滅できるし、中々に良いかもしれないねぇ……。
もう人生面倒くさいや……。どこかのかわいい娘でも抱いて、ゆっくりしたいよ……」
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